不成立のアリバイ ≫No. 1
永久駆動
8月22日。青森県深水郷。合宿5日目。午後1時。
5、4、3、2、1、発射。
白煙をあげて昇っていくNVH8号。
「やったぁぁぁ。」「成功だ。」
抱き合う部員たち。
「どうだ?」
双眼鏡を構える部長の児島に声をかける。
「順調だ。計器を回収しないと正確にはいえないが
3000を超えそうだ。
去年の7号の記録を大幅に更新するだろう。」
用賀工業大学宇宙研の合宿は
1機の手製ロケットを飛ばすのが恒例行事だ。
全長2mの小型ロケットだが設計を含めて
約1年の努力の結晶である。
「じゃあ俺は一足先に東京に帰る。」
「本当に急用なのか?
明日の朝で解散なんだから
最後までいろよ。」
ひきとめる児島や原田と別れ
俺は東京へ帰る新幹線の中。
急用というのは嘘だ。
最後の夜はみんな羽目をはずすので
酒が飲めない俺は居づらいのだ。
「先週の22日。昼頃はどこにおられました。」
1週間後、いきなり刑事が俺を訪ねてきた。
近所でおきたひったくり事件の捜査だという。
もちろん俺は合宿の説明をした。
その時刻ならまだ青森だ。
児島や副部長の原田の連絡先を刑事が書き留める。
「児島さんも原田さんもあなたのアリバイを否定しました。
署で詳しい話をお聞きしたい。
あくまで任意ですが事情聴取にご協力ください。」
次の日また刑事が来て、俺を警察に連れて行こうとする。
「そんなバカな。」
問題 なぜ俺のアリバイは否定されたのでしょう?
回答は囁きで
永久駆動
5、4、3、2、1、発射。
白煙をあげて昇っていくNVH8号。
「やったぁぁぁ。」「成功だ。」
抱き合う部員たち。
「どうだ?」
双眼鏡を構える部長の児島に声をかける。
「順調だ。計器を回収しないと正確にはいえないが
3000を超えそうだ。
去年の7号の記録を大幅に更新するだろう。」
用賀工業大学宇宙研の合宿は
1機の手製ロケットを飛ばすのが恒例行事だ。
全長2mの小型ロケットだが設計を含めて
約1年の努力の結晶である。
「じゃあ俺は一足先に東京に帰る。」
「本当に急用なのか?
明日の朝で解散なんだから
最後までいろよ。」
ひきとめる児島や原田と別れ
俺は東京へ帰る新幹線の中。
急用というのは嘘だ。
最後の夜はみんな羽目をはずすので
酒が飲めない俺は居づらいのだ。
「先週の22日。昼頃はどこにおられました。」
1週間後、いきなり刑事が俺を訪ねてきた。
近所でおきたひったくり事件の捜査だという。
もちろん俺は合宿の説明をした。
その時刻ならまだ青森だ。
児島や副部長の原田の連絡先を刑事が書き留める。
「児島さんも原田さんもあなたのアリバイを否定しました。
署で詳しい話をお聞きしたい。
あくまで任意ですが事情聴取にご協力ください。」
次の日また刑事が来て、俺を警察に連れて行こうとする。
「そんなバカな。」
問題 なぜ俺のアリバイは否定されたのでしょう?
回答は囁きで