クイズ大陸



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恐竜から落ちた男 ≫No. 1
?永久駆動 囁き
「あれがアンキロサウルス、その横がスピノサウルス。」
「すごくでっかいのがいるぞ。あれ兄弟かな?」
「下をにらんでるのがブラキオサウルス。
 口をあけてるのがディプロドクスだよ。」
ビルのようにそびえる恐竜たちの名前を路也が教えてくれる。
感心すると、パンフレットを丸暗記したと言う。
「ディプロドクスの足や首は本当はもっと細いし、
 首の角度もあんなに上にはあがらない。
 もっと正確に作ってくれないと見て名前は判らないよ。」
そう言いながら路也はけっこう大恐竜博を楽しんでいる。
機械じかけやコンピュータ制御で動く恐竜はいない。
それでも実物大というだけでものすごく迫力がある。

「おまたせしました〜。マーベラス真部の大脱出〜。」
「おっ路也、ショーが始まるぞ。」
マーベラス真部は今人気のエスケープマジシャンだ。
やけに女性客が多いと思ったら、真部が目当てだったのか。
真部は目隠しをつけ、鎖で自分を縛らせる。
アシスタントの男たちが縛られた真部を持ち上げ、
水槽の中に入れる。鎖の重さで真部は浮いてこない。
水着の美女が登場し、水槽をずっと前に押し出す。
一番前の観客たちがあわてて後ろに下がる。
水槽の中の真部が観客に手を振る。
女性たちの黄色い声援がさらに高まる。
突然照明が消え、場内が真っ暗になる。
しばらくして、ドサっと何かが落ちる音。
スポットライトが右側のはるか上を照らす。
首を高く伸ばし、こちらを見下ろすブラキオサウルスの頭が
光に浮かび上がる。
叫び声があがる。
スポットライトの光がそのまま真下におりる。
地面に横たわる真部の体。いやな角度で曲がった首。
頭の下に広がる血。

「真部は恐竜の頭の上から墜落したと見て間違いないでしょう。
 約20mの高さからコンクリートの地面に落下。即死です。 
 一般客には秘密にしてあるそうですが、大型恐竜の体には
 隠し扉があり中に入れるようになっています。
 さらに首の中のハシゴを登っていくと、頭の上に出口があります。
 真部は暗転の間に水槽を脱出し、恐竜の頭の上に登った。
 予定ではそこで真部にスポットライトがあたるはずでした。
 しかしライトがあたる直前に真部は転落した・・・・こんな感じです。」
「水槽とその中の水、鎖、恐竜にも不審な点も怪しい物も何も無かった。
 真部の転落後、すぐ照明がつき警備員たちが集まったから
 誰かが何か道具その他を隠す時間はなかった。
 恐竜の中に隠れていた人間もいない。
 油などが塗られた跡もない、怪しい仕掛けもない。
 真部の死体にも異常はない。薬物なし。アルコールなし。
 念のため手のひらや足の裏も調べたが何も見つからなかった。
 会場中の捜索でも観客を含めた全員の持ち物検査でも不審物は無かった。」
「鎖をすり抜け水槽から出る時も、ハシゴを登る時も、
 アシスタントの手はほとんど借りず真部が1人でやっていたそうです。
 ハシゴで登る首の中はとても細く、恐竜の頭の上はすごく狭い。
 隠れていたり真部を突き落としたりするスペースはなく
 誰かが恐竜内や恐竜頭部上に待ち伏せての襲撃は不可能でした。
 真部のハシゴ登りはすごく早かったらしいです。
 追いかけてハシゴを登った人間がいてもまず追いつくのは不可能でした。
 真部だからあのわずかな時間で恐竜の上に出現できたんです。」 
「恐竜に自分一人で登り、足をすべらせての転落死か。やはり事故だな。」
 そうやって捜査員たちが話していると、
「刑事さん、これ事故じゃないよ。殺人だよ。」
「こ、こら。路也。」
「えっ、坊や。事故じゃないって?」

問題 マーベラス真部を殺したトリックとは何か?
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