ｸｲｽﾞ大陸

解決編

三田村「一体、どう言う事なんだ？」
舞草「この事件‥一見、ダイイングメッセージが遺せていないように思えますが‥。」
「実は、ちゃんと彼女は残していたんですよ。」
三田村「‥じゃあ、文章は犯人に消されたのか？」
舞草「いえ。違います。‥消したら、他のキーに血痕が残るでしょう？」
三田村「ああ、そうだな‥。じゃあ、一体‥？」
舞草「簡単な事です。全角のスペースこそが、彼女の遺したかった伝言なんですよ。」

三田村「‥はぁ？」
舞草「少し考えてみて下さい。」
「第一、何でスペースキーなんて押さなきゃいけないんですか？」
「別に、遺せなかったら何もしなくていいのに‥。」
三田村「たまたまぶつかったんじゃないか？」
舞草「ありえませんね。キーには、「人差し指の跡がくっきり」残っていたんでしょう？」
三田村「ああ。そうだな‥。」
舞草「たまたまぶつかったなら、他の指の跡が残っていてもいいものを。」
「まして、擦れてもいないと言う事は、明確な意思を持って、それを押したんですよ。」
三田村「‥なるほど。」

三田村「じゃあ、そのスペースが表す犯人って‥誰なんだよ？」
「スペース‥宇宙か？」
舞草「だとしたら誰なんですか？」
三田村「ええと‥。さぁな‥。」
舞草「‥‥。」
「被害者は、数学の教師でした。」
「数学で、スペース‥つまり、まぁ透明ですね。」
三田村「数学で、透明‥？」
舞草「計算で、省略されて《見えなくなってしまう》ものがあるんですよ。」

俺は、近くにあった黒板にごく簡単な計算式を書く。

2x + 3x = 30
x = ？

舞草「‥‥ちなみに、答え、分かりますよね？」
三田村「‥‥‥‥‥‥当たり前だろ！」
舞草「（絶対分かってないな‥）重要なのは‥この《2x》ですよ。」
「正確には‥《2 × x》ですから。」
三田村「か、かける‥。」
舞草「そう。かける、です。」
三田村「つまり‥芦谷 駆‥か。」
「なるほど‥。よし。分かった。任意同行を求めてみる。」


‥その後、芦谷は前面自供した。
見えないダイイングメッセージは、間違いなく犯人を示していたのだ。