クイズ大陸



履歴 検索 最新 出題

前代未聞の神事 ≫No. 1
?永久駆動 囁き
いよいよ市来比売神社大祭のクライマックス
吉兆採りの儀が始まるぜ。
宮司の一人娘の雛子が巫女装束を着て
注連縄と紙垂の中に座る。うん、ひーちゃんかわいい。
巫女のコスプレじゃない本物だぞ。激萌えぇぇぇ。
彼女がひもろぎ(=依り代)だ。
雛子の父親で宮司の殿村のおっちゃんが祝詞をあげ
御祭神の杵嶋比売神をひーちゃんに降ろす。
神憑きとなったひーちゃんは立ち上がり祭壇から降りる。
そのひーちゃんの足に俺が草履を履かせる。
ひーちゃんは地面をゆっくり歩き出し
本殿裏の姫ケ森の藪に分け入って進んでいく。
神官見習いの俺は採られた吉兆を入れるための
籠を背負いその後につづく。

殿村のおっちゃんのレクチャーによると
この儀式でみつかった吉兆によって
今年の収穫が占われるってことらしい。
まあだいたい変わった形の石だとか
実や花のついた枝だとか
ひもろぎはそんなものを適当に吉兆として
持ち帰ればいいことになってる。
さあひーちゃん。さっさと終わらせようぜ。
この数ヶ月間、祭の準備に朝から晩までコキ使われて、
その合間におっちゃんから神官作法だの神職心得だの
縁起だの由来だのを超スパルタ式で叩き込まれた。
ひーちゃんへの思いで耐えてきたけどホントもう勘弁してほしい。

「きゃぁぁぁ」ひーちゃんが突然叫ぶ。
ひーちゃんの足元に白い蛇。
まじか!!!
これはむちゃくちゃやばい!
俺は籠を投げ捨ててひーちゃんのもとへ走った。

ひーちゃんの叫び声を聞いて
遅れてかけつけてきた祭の進行役の面々も
その光景を見てあっけにとられる。

俺もひーちゃんも装束はぐちゃぐちゃのドロドロ。
2人で藪の中をころがりまわって息もたえだえ。
こんなことは前代未聞だ。

その後は本当に大変だった。
こんなことが起こっては自分は宮司を続けられないと
殿村のおっちゃんが引退を宣言したり。
たまたま居合わせた記者がこの事件を新聞で派手に書き立てたり。
テレビのワイドショーまで取材に来たり。
信心深い村の年寄り衆は顔を覆ってボロボロ泣いた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「まあそれが5年前の出来事さ。」
妙に若い宮司が過去の大祭の話をしてくれる。
「そんな事があったんですか。
 それは神社の評判を落としましたね。」
「うん?あんた何か勘違いをしているぞ。」

勘違いとは何のことでしょう?

編集