クイズ大陸



履歴 検索 最新 出題

No. 22≫ No.23 ≫No. 24
?JK 2007/05/06 11:44
本日でGWも最終日。
皆さん、どんな風に過ごされましたか?
僕は相変わらず仕事三昧…っと、そうそう。
皆さんのおかげで漸く僕の記憶も蘇ってきたんですよ!!

※ ※ ※ ※

「策士、策に溺れる…とはいうが――」
警部はもったいぶった様子で僕の顔を見た。
「お前は、容疑者達の証言を聞いていて変に思わなかったか?」
「え、…特には――皆、息子の持ち物で証言は一致してますし」
「ああ、共通して息子の持ち物であるという証言は一致している――ただし、使用方法については食い違ってるんだよ」
携帯灰皿を持って警部は切り出した。
使用方法?と言われてもピンとこない。
携帯灰皿の使用方法なんて灰皿しかないじゃないか。
そんな僕の考えを見越しているのか、警部は微かに笑う。
「証言を集めてみろ。なくなったけれど『中身は丁度空だったからよかった』上に、鞄を開けにくいため『急いでるとき自販機とかで重宝する』もの。その中身を落とした際『拾い集めて戻す』」
「え、ちょっと待ってくださいよ。今の最後のところは灰皿でも――」
「外ならばいざ知らず、ばら撒いたのは『廊下』だぞ。灰皿の中身が『吸殻』だとして、落ちたのを拾い集めたら『捨てる』だろ。態々『戻す』必要はない。」
「まぁ、確かに…」
「で、最後に。これは携帯灰皿なわけだが、持ち主の振雄は『おかしなことをする』ということ」
「つまり、警部…これって…」
「流石にお前も気づいたか?証言を取り直せば、明白になるだろうが――息子の振雄はこれを『携帯灰皿』としてではなく『小銭入れ』として使ってたんじゃないだろうか」
「あ」
「鞄の中には万札とカードの入った財布はあった。けれど、小銭はなかっただろ?自販機を使う以上どうしても小銭は出るからな。勿論、ただ単に今日はなかっただけかもしれないし、ポケットに素で入れる性質かもしれないがな」
急いでいる時とか、確かにポケットに小銭突っ込んだりするからな、僕も。
一概には言えない、ということか。
「一先ず、それを踏まえて4人の証言を思い出せ。息子がこれを別の使い方をしていることを念頭に答えていると思われる証言ばかりを集めてみたわけだが、一人だけ違う。その人物は、これを未だに『携帯灰皿』だと認識している――」
「えっと、…あ!愛人の三田芽好!」
「そう。彼女は『贈った』わけだから、これが何かは一番良く知ってる。証言で『どこでもかしこでも吸うから』という発言をしたわけだしな。」
「でも、それだけじゃ彼女が偽装したとは――」
「だから言っただろう、『策士、策に溺れる』とな。念には念をと思ったんだろ。だが、それが逆に仇になったわけだ。息子の仕業と思わせるために携帯灰皿を取ってきたまではよかったが、肝心の中身が空っぽだった。そこで用心には用心にと、吸殻を携帯灰皿に入れた」
ちょっと待てよ。そういえば、被害者は灰塗れになってるわりに吸殻は数本しか落ちてなかったな…もしかして、此処に落ちてる吸殻を拾って入れた、とか?
「もしこれが本来の用途である『携帯灰皿』ではなく、振雄の勘違いである『小銭入れ』であると知っているなら、こんな馬鹿なことはしない。つまり偽装したのはこれが携帯灰皿として使われていると思っている人間だ」
念には念を入れておくとはいうけど、時と場合によるんだな。
「ま、偽装に関しては他にもあるんだがな…」
「と言いますと?」
灰皿だけでも十分なのにまだ何かあるのだろうか。
多分何も分かってませんとでも書いてそうな僕の顔を見たからだろう。
警部はそれはそれはふかーーーいため息をついた。
「…お前、自分で言ったんだぞ。この鞄は『型が崩れ易い』『傷ひとつない綺麗な鞄』ってな。もしこれが被害者によるとして、見るからに頑丈な鎖が途中から外れるほど引っ張ったんだぞ。なのに、何で鞄は型崩れもしてない上に『傷ひとつない』んだ?」
「あ」
慌てて、鞄を見た。そう、型崩れしてないから、型崩れしないように注意したのだ…。
「持ち主が気にかけて使っていれば、当然傷はつきにくいだろうが…何せ鞄から携帯灰皿を引っ張ってとったとされるのは、被害者だ。傷なんて気にしないだろ?――勿論、これは俺の主観だがな。」
グゥの音も出ず、落ち込む僕に警部は「仕方ない奴だな」と笑って肩を叩いて来た。
「実はお前が携帯灰皿を取り出した時、小銭入れだと思ったんだよ。吸殻が出てきてはじめて携帯灰皿だと気がついたが…いや、最近のは洒落てるんだな」
証拠品の携帯灰皿をしみじみ眺めた警部は、表情を変えて僕を見た。
「今まで話したことは、お前の報告から導いたものだが、結局はオレの推論に過ぎない。容疑者達全員から証言を引き出せ。裏づけも忘れるな…出来るな?」
「は、はぃ!!」

※ ※ ※ ※

ノアさん、Yossyさん、ひでぽんさん、(T)さん、Tさん、ハマノさん、J−Jackさん、SHISHI1さん、ダウディさん、出来損ないの人間さん。
ご協力いただき、本当に有難うございました!!

皆さんのおかげで僕の抜け落ちた記憶も手帳の空白も埋まり、犯人も捕まえることが出来ました。
捜査の結果、皆さん(と警部)の推理通り、三田芽好が犯人でした。

また、何かあったら宜しくお願いします。
あとくれぐれも僕が此処で聞いたのは警部には内緒ですからね。
此処に名探偵たちがいるなんて知ったら、僕が即クビなんで(笑)
編集