クイズ大陸



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Craft brings nothing home.(答) ≫No. 1
?JK 2007/04/25 23:39囁き
初めまして、皆さん。
僕は、天石陸といいまして。
一応刑事やってたりなんたりしてるんですが。

実は今、ちょっと困ってまして…。

※ ※ ※ ※

「ガイシャは?」
「金ヶ崎暮雄(かねがさき くれお)、56歳。この周辺では名の知れた金貸しの社長です」
現場は被害者の住むマンションの一室で、通いの家政婦がリビングで血を流して倒れている被害者を発見した。
鈍器で頭部を殴打されたのが致命傷で、周りに数本落ちた吸殻、灰。
被害者も見事なまでに灰に塗れていたことからも、傍に落ちていたガラス製の灰皿が凶器であるのは間違いない。
「ま、今回は警部のお手を煩わせずに済みますよ」
一通り説明し終えた僕は、報告した相手――僕の上司である警部を見た。
「ほぅ、やけに自信満々じゃないか」
「だって、被害者が犯人を教えてくれてるんですから」
発見時、被害者は手に何かを握り締めていて、開いてみると中にあったのは携帯灰皿。
マナー啓発のために配られるような安物じゃなく、ちょっとこじゃれたワニ皮の袋で「H.K」というイニシャルが入っている。
ボタンを外して中をとりだすと、吸殻が山ほど出てきた。
また、この携帯灰皿は取り付けられるようになっていたのか、本来繋がっていたであろう頑丈な鎖が途中で切れていて、輪っかがゆがんでいた。
「ふーん、これが決め手か?」
「そうなるんですけど…このマンションの防犯管理上、容疑者は4名に絞られました」

◇容疑者
金ヶ崎振雄(かねがさきふりお):被害者の息子で専務。金銭面の問題で被害者とは顔をあわせれば言い争っていた。此処最近は被害者の愛人とのことでも揉めていたと周囲から証言。ヘビースモーカー。

金ヶ崎米代(かねがさきよねよ):被害者の後妻で振雄とは血の繋がりはない。夫婦仲は随分昔に冷めていたようだが、最近の愛人問題で更に険悪になっていた。煙草は吸わない。

三田芽好(みためよし):被害者の愛人でホステスで、店の常連だった被害者に気に入られたとかで囲われていた。ここ最近は息子の振雄にも手を出して貢がせていた。煙草は客に勧められれば付き合い程度に吸う喫煙者。

臼井幸雄(うすいゆきお):被害者の秘書長年、被害者の秘書として仕えてきたが元々不満は多かったようで、最近は給与のことで揉めていた。喫煙者。

「―――で、お前はH.Kというイニシャルから息子が犯人だというんだな」
「ふふん、それだけじゃないですよ。ちゃんとこの携帯灰皿の持ち主についても証言を得てます」

振雄「あ、そいつは確かにオレのだ!この間からなくてさ…中身は丁度空だったからよかったけど。それ、使い勝手良いから愛用してたんだぜ。ほら、オレのカバン開け難いからさ。自販機とかコンビニでとか、急ぐ時には重宝するぜ。そこんとこ彼女わかってるんだよ」

米代「それ?ああ、振雄さんが鞄につけてたわね。この間も中身を廊下にばら撒かれて、拾い集めて戻しましたよ」

芽好「それは確かに私が彼に贈ったものよ。中々洒落てるでしょ?私と思っていつも持っていてって。ふふ、彼って何処でもかしこでも吸うから。私なりの心遣いよ」

幸雄「専務のですよね、それ。よく自慢してましたよ、女に貰ったってね。まァ、あの人が変わっているのは何時ものことですけど、おかしなことしますよね」

「以上の証言からも、これが振雄のものであることは間違いありません」
「つまりは、被害者が争った時に息子の鞄から取った、と」
「そうですね」
「…息子がカバンを開けにくいと言っているが――」
「ああ、借用書などを入れて持ち歩くことが多いとかで鍵がついてるんで、一々鍵をあけないといけない、と。それが?」
「中身は?」
「え、ああ、中身ですか?契約関係の書類の入ったファイル…あくどそうですよ、チラッと読みましたけど。筆記用具は、これみよがしにブランド物のケースに入ってて。あとは、財布。これまた分厚いんですよ、諭吉ばかりにカードしか入ってないんですから、何様よって。それと…えーっと、それぐらいですかね」
一応確認できるように中身を取り出しておいたので、それを並べてみる。
「なるほどなー」
顎を撫でながら警部は僕の顔を見る。
「ちゃんと中の吸殻に付着している唾液と容疑者の唾液の鑑定しますよ。ま、間違いなく振雄のものでしょうけど」
「…」
なんか、まだ話せとばかりに見つめてくる。
「あ、あとですね。これです、これ」
肝心なものを忘れていた。
鞄本体を慌てて他の証拠品と一緒に並べる。
「携帯灰皿のついていた鞄ですが、取っ手の部分に切れてしまった鎖が残ってました。あ、ちなみに、これ皮製の最高級品なんですよ」
「ふーん…」
警部はこういったものには本当に疎いから(手袋はしてたけど)ひょいと乱雑にそれを持ち上げた。
「ああ、警部!乱暴に扱わないでください。それ、海外で出たばかりで、日本にはまだ入ってきてないんですよー人気が高いから簡単には手に入らないし、僕と同じで繊細で型崩れしやすいんですから――容疑者もちゃんとそこはわかってたみたいで傷1つない綺麗なもんですよー嗚呼、羨ましいな〜」
「お前の余談はいらない」
「…今の所、他にはわかってないです」
憮然とする僕のことなんてお構いなしで、ふーん、と警部は気のない返事をした後、証拠品を眺めてふと目を細めた。
「どうかしましたか?」
「矢張り、何事も急いてはことを仕損じる、だぞ」
「へ?」
「振雄が犯人ではないという断定にはならないが…―――証拠が偽装の可能性があるな。それに偽装した人間の目星も…。ま、どちらも今ある情報から考えられる推測に過ぎないが――」
「ど、どういうことですか??」
「策士、策に溺れる…とはいうが―――」

※ ※ ※ ※

この後、それを教えてもらって、警部から頼まれごとしたんですけど。
…僕の推理で解決すると思っていた分ショックが大きくて。
肝心なところを手帳に書き留めてはないわ、記憶がぽんと抜けてるわ。
だからこっそり誰か教えてくれませんか?ほら、ここで聞いたなんてバレたら警部にどやされるんで…

教えていただきたいのは、

(1)偽装の可能性を教えてくれる証拠品。
(2)警部が目をつけた容疑者の名前。

できれば、理由も。確か、(1)は複数あった気がしますけど、わかったもので良いんで教えてください。
要点を掻い摘めなくて長々書いちゃいましたけど、あの、これさえわかれば頼まれごともできる(と思う)んで、ご協力のほど宜しくお願いします。



※追記(5/6)
NO.17にヒントを追加しました。
NO.23に解答編、NO.24に余談編を追加しました。
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