クイズ大陸



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?Yss 2015/12/29 18:00
No.27のつづきです。
これは、ロジックと言うより日本語の解釈の問題かもしれません。
日本語の助詞「は」は主題の提示をする助詞です。したがって、
「あなたは・・・」で始まる文は、「『あなた』が主題である」というニュアンスを持ちます。

学校で習う文法は「橋本文法」と言われるもので、そこでは日本語に「主語」があることになっているのですが、外国人に日本語を教えるときに、その文法を教えると不自然な日本語を話すようになってしまいます(=つまり文法がどこかおかしい)。
「ゾウは鼻が長い」文法の世界では有名な「象鼻文」というのですが、この文は主語が定義できません。
細かい話ははしょりますが、「ゾウは」が主題。「長い」が文の必須要素(述語)。「鼻が」は「長い」が要請する「主格補語(主格ではあるが、補語なので文の必須要素ではない)」と考えるのが一番日本語をすっきり解釈できる考え方(三上章氏が提唱したので三上文法と言います)です。


さて。

「あなたは「はい」と答えますか?」的な質問をした場合、
その質問のスコープと言いますか、何に注目しているのか、ということが、答えに影響します。

「あなた」が主題であると解釈すれば、「あなたの性質」を問う質問、だと解釈することになります。
つまり、
「あなたは、自分の性質として「はい」と答える人ですか?」という含みのある質問ということ。
そう聞かれたなら、

まだら嘘つきの性質は「まだらにウソをつく」ことにありますので、
「いや、私は、「はい」と答えることも「いいえ」と答えることもあるけど・・・」
と考えるはずです。

したがって、この解釈においては、真偽はfalseになり、
あとは、まだら論理で反転すればYes、反転しなければNoという答えになります。
(沈黙はないことになる)


一方、質問のスコープが「今回(次回)の質問について」というニュアンス、
たとえば「今回は(次回は)」などの言葉をつけて、主題は今回(次回)の質問についてである、と明確にしておけば、
今回の答えはYesかNoか分からないですので、まだらは「わからない」と考えるはずです。
つまり沈黙することになります。


但し、別の解釈も成立します。
「あなたは」が英語の主語を表すのと同じと解釈すれば(私はそういう日本語はあまり日本語的に美しくないと感じるので、好きではないのですが、確かに英語の訳文などで「は」を主語を示すために使わないと困る場合は結構ありますし、本問のような場合も、「は」を単に主語を表すと考えるなら、こちらです。)

「は」を主題ではなく、主語を表す符号的に捉えることになります。すると、
「あなたの性質として」などというひねくれた解釈をわざわざするのはおかしい。
今回あなたが「はい」と答えるか答えないか、その点について考えるべきだと。
こちらの解釈になると、「あなたは「はい」と答えますか?」的に、まだら嘘つきが自分の答え方に対する質問を受けた場合、「分からない」という結論になり、まだら嘘つきは沈黙します。


(まだつづく)
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