クイズ大陸



履歴 検索 最新 出題

No. 65≫ No.66 ≫No. 67
?魔雨 2013/09/06 15:47囁き
女は新品のトランプを開封すると、鮮やかな手付きでシャッフルする。
カードを揃えて左手に持ち、赤いペンでなにやら書き込む。
手元は見えないので、どのカードに何を書いたのかは分からない。
インクを乾かすためか息を吹きかけ、再び鮮やかなシャッフル。
俺にカードを選ぶように言い、カードを扇状に広げる。
一枚のカードを抜き取って表を見ると、
「お前はこのカードを選ぶ。そして天罰が下る」と書かれていた。
「もちろん他のカードには何も書いていない」
女はそう言うと残りのカードを表向きにテーブルの上に広げて見せる。
「ふん。見事なものだな」
「当たり前だ」
「では死ぬがいい」
俺は持っていた拳銃の引き金を引いた。

女の名は八岐直子(やまたなおこ)。自称売れっ子奇術師だ(笑)。
こいつと初めて会ったのは埋田クリスタルホールだったな。
あのときはマフィアがイベント企画者で驚かされたものだ。
その後は二人で悪人どもをこらしめたりしたのだが、
俺は道を踏み外してこいつと対立することになった。
そして、今夜こいつを殺すことにしたわけだ。
最後にマジックをやりたいと言ったのでやらせてやった。
正直からくりは分からなかったが支障はない。
念のため、他に妙な書き込みがされていないか全てのカードの裏表を確認する。
カードの枚数もしっかりチェック。
手袋をしたままだったので面倒だったが仕方ない。
事前に何も隠し持っていなかったのは確認済みだ。
「お。これは俺が買ってやったものだな。こいつこの時計しかもってないのか?」
それを外してポケットにしまうと、女の手に拳銃を握らせた。
俺は痕跡を残していないことを確認するとその部屋を去った。

翌日、昼過ぎに起きてぼけっとしていると刑事がやってきた。
「実は八岐直子さんが昨夜、殺害されましてね」
「えっ!?殺された?自殺の可能性はないんですか?」
「間違いなく他殺ですな」
「そんな・・・。で、どうして僕のところに?」
「少しでも関わりのある方全員に話を聞いているんですよ。上司がうるさくてね」
(中略)
「実はうちのかみさんが手品にはまってましてね。あたしもちょっと覚えたんですよ」
「はあそうですか」
「あたしの技術じゃ大したことはできないんですがね」
そいつはどこからかトランプを取り出すとぎこちない手つきでシャッフルを始めた。
「トランプをよーく切ってと・・・一枚お選び下さい」
「・・・こんなことしてる場合じゃないんだけど」
と言いつつ、一枚のカードを選んで表を見てみると、
なんと「あなたが犯人ですね」と書かれていた!
「な、なんで分かったんだ」
ニヤリとそいつが笑った。


答えは「あかいへん」「ほけっと」「ししょう」「とけいし」「きしゅつし」「しょうし」でした。
おまけの答えは「せのんて」で、
自然哲学者はゼノンで希ガスはキセノンです
ということでした。
タイトルのひらがな部分「せのんで」にちなんだ問題でした。
編集