クイズ大陸



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「チェシャ猫」 狂気の帽子屋・マッドハッターの来日 ≫No. 1
?そうそう 2010/08/18 12:26囁き
「ハロー!ウィーニードマネー!ドゥーユーアンダスタン?」
「プリーズギブユアマネー!ギャハハハハ!」

たどたどしい英語と下品な笑い声が、路地裏に木霊する。
とある町。柄の悪い少年に英国紳士が取り囲まれていた。

いや、紳士というべきか。確かに英国紳士らしい山高帽に仕立てのいいスーツ、豪華な装飾品。身なりはいい。
だが、指輪、首輪をゴテゴテとつけ品がなく、なによりその眼鏡の奥の瞳からは、言い知れぬ狂気が滲んでいた。

「へへ、こんな金持ってそうなオッサンが俺たちのシマを通りかかるなんて、ツイてるぜ!」
「…ツイてる?ナニがくっツいてるのでスか?」

男は、これまたたどたどしい日本語で尋ねる。

「あんた日本語しゃべれんのか?そりゃまたツイてる!あんたが大事に抱えたそのカバン、渡してもらおうか!」

「これは仕事道具なのでネ。で、何がくっツイてるっテ?」
「はあ?ツイてるってのは、運がいいってことだよ!運がツイてんの!ドゥーユーアンダスタン?」

「…なるほど、ラッキーということですネ。そして、ウンがツイてると。…ふむ、その通りにしてあげましょう」

言いながら、その男はスタスタと歩いて路地裏から出ようとしている。少年たちはいきり立ち、止めようとする。

「おい!…あんたも運がねえな。今、気が立ってんだ」
一人の少年がナイフを取り出し、男を追いかける。

その時、いきなり横合いからダンプが歩道に乗り込み、少年たちの何人かを巻き込んだ。
さらに、ダンプが積んだ荷物がほどけ、鉄骨が残りの少年に降り注ぐ。

「ぎゃあああ!」「た、助け…!」

だが、帽子の男は一切無傷で、普通に歩き去って行く。
「ふむ、確かに私はウンがない。…ラッキーですネ」

道を通りががった少年が、驚きの声を上げて近寄ってくる。

「何?すごい音。おじさん、大丈夫?」
「…ああ、大丈夫だヨ。キミは大丈夫かネ?」
「うん!平気だよ!」

「…ふむ。少年、キミは今、幸せかネ?」
「うん、幸せだよ!」

少年は屈託のない笑顔で答える。不幸なことなど何もない、という表情で。

「『うん、幸せ』ですか。では、そのようにしてアゲましょう」
「?ありがとう。じゃあ、おじさん、バイバイ!」

そのまま歩き始めた帽子の男の後ろから、声が聞こえる。

「キミ!危ないよ、近づいちゃいけない。」
「え?ボク、おかあさんと待ち合わせしてるんだけど…」
「さっきの事故で、建物が崩落したんだ。通行人のうち何人かが巻き込まれていて…」

それを聞きながら、帽子の男は満足そうに微笑む。
「…『うん、幸せ』のようですネ。ニホンゴは面白い。」


…男は、狂気の帽子屋。狂気の魔法で、人に災いをもたらす。今も、日本語と、母国語を組み合わせ、災いを招いたのだ。

「友人に会う前に、ちょっと遊んでいくとしますかネ」

帽子屋は、新しい遊びを見つけた子供のように、無邪気な笑みを浮かべた…。

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さて問題です。狂気の帽子屋は、何を使って少年たちや子供に災いをもたらしたのでしょうか。

全角大文字でお答えください。(表記違いも対応してあります)
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